ヴェルベット・アンダーグラウンドやニコなど、多くのミュージシャンやアーティストたちを放出した”factory”という工房の存在はとても刺激的だった。僕がもう少し早く生まれていたら、リアルタイム感受することの出来た1960年代のレボリューションといってもいい現象だった。それは60年代は僕が小学生から高校生くらいの時期にあたるわけだが、海外の新しい風(特にブリティッシュロック)に敏感に反応した多感な時期でもあった。もちろん”factory”の中心人物であるアンディー・ウォ−ホールの存在は後年知ったわけだが、1970年代に入るとウォ−ホールのポップな感性はカメラにも及び、ポラロイドカメラをいつもぶら下げ無差別に写真を撮っていた姿は強いインパクトとなって僕の記憶に焼き付いている。 カメラにしてもベーシックなデザインのものから、斬新なデザインやテクノロジーを駆使したカメラが次々と発表された年代でもある。上記したポラロイドなどは、アーティストの気持を揺さぶるだけのインパクトがあり新時代の写真表現であったに違い ない。 古いカメラにうつつを抜かすことは、デジタルカメラ全盛の今あまりに逆行した懐古趣味的な次元となじられるかもしれない。だが愛すべき”時の記憶装置”である古いカメラを前にすると、現在製造されているカメラが視界から遠ざかって行くことも事実だ。1960年代という先鋭的な時代の香りと息吹きを吹き込まれ、長い年月を経てなおかつカメラとしての機能を失うことなく存在していること自体素晴らしいとしかいいようがない。ここではあくまでも僕個人の趣味嗜好を反映し、”60年代”をキーワードに僕のお気に入りを紹介したいと思う。 |