町田 康(kou machida)1962年生まれ

 ライブハウス『クロコダイル』は、僕が独立てし間もなく独り住まいをしたアパートから歩いて1分くらいと近い場所にあり、時折足を運んではライブを楽しんでいた。
そして町田町蔵こと町田康が、1982年に結成したバンド『FUNA』を観たのが、まさに原宿のライブハウス『クロコダイル』であった。そして『FUNA』解散後大阪から東京に移住した町蔵が結成したバンド『人民オリンピックショウ』(キャプテン・ビーフハート的オルタネイティヴ色の強い音作りであった)に、当時まだ大学生だった知人の鈴木琢がベーシストとして参加することになったのをきっかけに町蔵と交友が深まり、ライブやその他日常での彼の写真を撮ることになった。そしてその痕跡が、1987年JICC出版局から発売されたカセットブック、『どてらい男又ら』町田町蔵from至福団である。
 バンドの音はもとより、町蔵から発せられる語彙にはアジテーション的なものと繊細で自虐的とも思える感情が入り交じり、声自体音楽そのものであるかのような強い魅力を感じた。そして1992年はじめての詩集『供花』を思潮社から発刊し小説『くっすん大黒』を発表(1996年)にいたった時、さほど驚くことはなかった。それは文体が彼の日常的な語感そのものであり、特別気を衒ったモノではないということを少なからず承知していたからである。
 その後の『くっすん大黒』で第7回ドゥマゴ文学賞、第19回野間文芸新人賞受賞をとり、2000年には小説『きれぎれ』で第123回芥川賞を受賞。さらに2001年には詩集『土間の四十八滝』で第9回萩原朔太郎賞受賞、2002年には『権現の踊り子』で第28回川端康成賞を受賞した。そしてシアターブルックの佐藤タケジ(2002年に脱退)と結成したバンド、『ミラクルヤング』のライブ活動などこれからも眼がはなせない。

http://www.machidakou.com/
http://www011.upp.so-net.ne.jp/banana_fish/