川口晴美(harumi kawaguchi)1962年生まれ

 渋谷の某書店で新刊書を見て回り、好みの幻想文学あたりをチェック。そして詩集のコーナーでふと手にした川口晴美の詩集『ガールフレンド』(七月堂)は、詩人不毛の時代と思っていた僕の考えを打ち砕くほど言葉に力とイマジネーションが宿っていた。
 川口晴美は1962年に福井県小浜市に生まれ、早稲田大学第一文学部文芸専攻卒後OL生活を送ったという。いつの頃から詩作をはじめたか詳細は知らないが、その研ぎすまされた特有の語感の煌めきは僕の感覚に激しく楔を打ち込んで来たのである。
 詩集は他に『デルタ』『液晶区』(思潮社)、『ボーイハント』(七月堂)『水姫』『綺羅のバランス』(書肆山田)とあり、すべて読もうとあちらこちらの書店で探したのだが『水姫』『綺羅のバランス』がどうしても手にはいらなかった(その後『lives』『EXIT.』ふらんす堂を出版している)。
 そこで版元に連絡をしたのだが、絶版でないという返事が帰って来た。電話に出た方から「本人だったら在庫を持っているかもしれませんね」というので、ひたすらお願いし住所を教えて頂き手紙で挨拶も含め在庫の有無を尋ねたことがあった。すると信じられないことに、本人直筆の手紙と共に『綺羅のバランス』を送って頂けたのである。
 すでに他界した大手拓次や西脇順三郎、そして吉岡実にとともに、今なお読み続けている詩人が川口晴美なのである。

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http://www1.nisiq.net/~kz-maki/air/sakukin/kawaguchi.html